庭園の滝をどう造る?

庭園シリーズ
構成要素で、水関連から始めています。
遣水
庭園の水調達の苦労

庭園の池
ときたので
次は、滝に参りましょう


庭園は元々自然の見所をコンパクトにしてイメージするものなので
滝も自然に存在する大規模なものは無理
小型の滝にはなりますが、滝があると庭園に大きなインパクトが出ます。

遣水についてはその周辺の地域が水を引いているのと同じように引いたのでは
高低差は出ない。
高めのところに水を引いてくるという、新たな試みが必要になる
庭園について調べると必ず出てくる、
平安末期に橘俊綱が書いた「作庭記」によると
一尺に三分即ち、100分の3の勾配をつける必要がある
水源の自然的条件と、人の努力が伴って初めて滝は可能になる

庭園に滝があると、よくがんばりました、の花丸をあげましょう。

東京近郊をずっとウォーキングして回っていますが
滝を売り物にしている庭園は
ホテルニューオータニの庭園と、椿山荘の庭園

商業庭園と申しますか
元あった庭園を踏まえつつも
お客さんを呼ぶためにあとから整備した庭園。

そこでの水源は、水道であり
高低差はポンプで汲み上げる事によって実現しています。

昔ながらの庭園たちからすると
卑怯者!な訳ですが
結果として、群を抜いた推量と高低差は可能になり
それはそれは見事

庭園に何を求めるかという根本的な問題になっちゃいます。

実際に歩いて回って感じるのは
どっちもアリ、であり
それは庭園の「個性」だなあ、と

だから、色んな庭園を見たくなるんですね。

滝の種類
それでは、滝の個性、それぞれを見ていきましょう。

先程言った「作庭記」によると

①筋落ち:1本の筋のように落とす。
②布落ち:幅広く落とす。
③段落ち:段上に落とす。(二段落ち、三段落ち)
④伝い落ち:壁面を伝うように落とす。
⑤離れ落ち:壁面から離れて落とす。
⑥糸落ち:細い筋で落とす。
⑦すだれ落ち:白糸の滝のように、筋状にたくさん落とす。

先程の、椿山荘の例で言うと
三段落ちにし
かつ、上二段が布落ち、
三段目が伝い落ちのすだれ落ちの変則パターン
さすが、考えてはります。

滝は、視覚のみならず、聴覚で感じましょう。
最近は、滝を写真に収めるとき、動画で録るようにしています。

これは小石川後楽園の綺麗な白糸の滝

龍門瀑
人は欲張りですね
自然を映してああ美しいで良いと思うんだけど
そこに、意味を持たせたいなと

中国の故事を表しましょう

鯉は、滝を昇りきると龍になります。

カープがドラゴンズになるとも言えますね

庭園でも表しましょう。
龍門瀑(りゅうもんばく)ないしは龍門の滝

滝に、鯉の彫り物でも配置しますか?
そんな品のないことはしませんね

日本庭園は、加工せずに、似た感じの石を配置する、見立て、という考え方
鯉魚石(りぎょせき)と言います。
金閣寺だとこんな感じ

もうちょっとですね

応援しましょう
カープっカープっ

戸山荘
江戸の滝でいうと面白いのは尾張藩下屋敷の戸山荘の滝

それなりの大きさなのに、水がちょろちょろしか落ちていない
ひょっとしていまいち?
客人が近づいた瞬間、水がどばっと噴き出す。

びっくりして逃げ回るお客さん

実は上で堰板で水を貯めておいて、
お客さんが近づいたぞって瞬間に板を外す。

さっき思いきり驚いておられましたね。
ずるいずるい。言っておいて下さいよ。

って感じで笑いあって、一気に距離が近づくっていう算段

索引はこちら
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ニゲラ

花カレンダー始めました

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